GitLab(ギットラボ)は、GitHub(ギットハブ)に次ぐ人気のソースコードのバージョン管理システムとして、特にDevOpsやDevSecOpsの実践においてオールインワンのソフトウェア開発基盤としてその価値を発揮します。本記事では、GitLabの概要、GitHubとの違い、そして主な機能と使い方を初心者向けに分かりやすく解説します。1. GitLabとは?GitLabは、強力なAIを搭載した包括的なDevSecOpsプラットフォームです。開発(Dev)、セキュリティ(Sec)、運用(Ops)のワークフローをシームレスに統合することにより、プロジェクトの課題管理と進捗状況、ソースコードのバージョン管理やコードレビュー、さらにCI/CDによるビルド・テスト・デプロイの自動化、セキュリティ強化・脆弱性管理・SBOM導入まで、ソフトウェア開発のライフサイクル全体にわたる多くの作業を、単一のプラットフォーム上で効率化できます。利用者数は世界中で3,000万人を超え、中小企業・スタートアップからエンタープライズまで幅広い企業で採用されています。GitLabの主な特徴以下はGitLabの主な特徴とその機能です。Gitとコードレビュー:コードのバージョン管理とコラボレーションを促進し、変更履歴の追跡とコードレビューを容易にします。(リポジトリ、マージリクエスト)階層構造とアクセス権限:組織やチームの複雑なプロジェクト管理を単純化し、適切なアクセス権を設定することができます。(グループ、プロジェクト)プロジェクトの課題管理と進捗状況:タスクとマイルストーンを視覚的に管理し、プロジェクトの進行状況を一目で確認できます。(イシュー、エピック)CI/CDによる自動化と品質向上:ビルド、テスト、デプロイの自動化を通じて、迅速かつ高品質な製品のデリバリーを実現します。(GitLab CI/CD)セキュリティスキャン:CI/CDに組み込むことで、コードの安全性を確保し、脆弱性を早期に発見します。(セキュリティスキャン)脆弱性管理とトリアージ:発見された脆弱性を追跡、分類し、優先順位を決定して修正作業を効率的に進めることができます。(脆弱性レポート、セキュリティダッシュボード)SBOMの自動生成:ソフトウェアの構成要素を正確にリストアップし、脆弱性の有無やライセンス面の透明性を高めることができます。(依存関係リスト、CycloneDX SBOM)セキュリティポリシーによるガードレール:管理者がポリシーを設定し遵守させることで、製品を安全に保ちます。(セキュリティポリシー)開発生産性の分析:開発プロセス全体の効率とボトルネックを分析し、チームの生産性向上を図ります。(バリューストリーム分析、DORAメトリクス)包括的なAIアシスタント:生成AIによるコードの提案、説明、コメントの要約、テストコードの生成で、開発者の生産性を大幅に向上させます。(GitLab Duo)GitLabのコンセプトGitLabのコンセプトは、DevOps・DevSecOps に必要なツールをすべて一つに集約したソフトウェア開発基盤です。このプラットフォームは、以下の各フェーズをシームレスに統合することにより、チームが製品を迅速かつ効率的に市場に投入し、継続的な改善を促進するDevOpsを実現します。Plan(プロジェクト計画)Code(コーディング)Build(ビルド)Test(テスト)Release(リリース)Deploy(デプロイ)Operate(運用)Monitor(監視)さらに、GitLabは開発プロセス全体のセキュリティを強化するDevSecOpsによって、製品の安全性を保証し、サプライチェーン攻撃の脅威から保護します。Security(セキュリティ)Compliance(コンプライアンス)DevOps(デブオプス)GitLabは、単にソースコードをGitでバージョン管理するだけではなく、プロジェクト管理からコードレビュー、ビルド・テスト・デプロイの自動化、運用監視に至るまで、多岐にわたる機能を統合し、開発(Dev)と運用(Ops)の生産性を向上させるように設計されています。この DevOps により、チームは 継続的インテグレーションとデリバリー(CI/CD) を通じて、アジャイル な製品改善と品質向上を実現します。DevSecOps(デブセックオプス)最新の開発手法 DevSecOps は、DevOpsにセキュリティポリシーのガードレールを導入し、 開発の初期段階からセキュリティ対策に取り組みます。(シフトレフト)SASTやDASTなどのセキュリティスキャンをCI/CDに統合することで、早期に脆弱性を発見し、迅速に修正することが可能です。このプロセスを通じて、組織全体のガバナンスとコンプライアンスを強化し、チームは開発速度を落とすことなく、安全かつ信頼性の高いソフトウェアをより早くリリースできます。また、DevSecOpsが注目される背景には SBOM の義務化が挙げられます。こちらに関しては関連記事「SBOM解説!必要な最小要素と欧米主導で義務化が進む最新動向」をご覧ください。2. GitLabとGitHubの違いGitLabとGitHubは、ソフトウェア開発プロジェクトの管理において世界中の開発者から高い信頼を得ているプラットフォームです。これらは共にGitを基盤としたバージョン管理システムを提供し、「Git Repository」を用いてコードの格納を可能にします。しかし、各々は独自の特徴と強みを持ち、開発プロセスに異なるアプローチを提供します。コードレビュー:GitLabでは「Merge Request」、GitHubでは「Pull Request」と呼びます。これは、コードの変更をレビューし、ターゲットブランチにマージするためのリクエストを指し、チーム内のコラボレーションと品質保証のプロセスを強化します。組織管理:GitLabの「Group」とGitHubの「Organization」は、チームやプロジェクトの組織的な管理を可能にします。GitLabは、サブグループの作成を通じてより複雑な階層構造をサポートし、プロジェクト間の親子関係やアクセス権の管理を詳細に行うことができます。CI/CD機能:「GitLab CI/CD」と「GitHub Actions」は、ビルド・テスト・デプロイの自動化を支援する強力なツールです。それぞれ「GitLab Runner」「GitHub Actions Runners」を通じて柔軟な自動化ワークフローを提供します。GitLabはこの機能をプラットフォームの核に組み込み、広範な脆弱性を検出するセキュリティスキャン機能を統合しています。AIアシスタント:「GitHub Copilot」および「GitLab Duo」は、生成AIによるコードの提案や自動補完を行うことで開発者の生産性向上を目指しています。これらのAIアシスタントは、開発プロセスを加速し、より効率的なコーディングを可能にします。以下は、GitLabとGitHubの違いを「対象者」「ユーザーインターフェース(UI)」「ユーザーエクスペリエンス(UX)」「組織管理」「CI/CD」「セキュリティ機能」「セキュリティスキャンの種類」の7つの観点で比較した表です。さらに詳しい情報は、関連記事「GitLabとGitHubの違いは?徹底比較」をご覧ください。3. GitLabの主な機能リポジトリ:ソースコードのバージョン管理GitLabはGitをベースにしており、分散型バージョン管理システムを提供します。これにより、開発者はソースコードの履歴を管理し、変更を追跡することができます。マージリクエスト:コードレビューMerge Requestは、コードレビューとマージのプロセスをサポートします。これにより、品質保証とコラボレーションが強化されます。グループ と プロジェクト:階層的な整理と詳細なアクセス管理GitLabはグループ、サブグループ、プロジェクトという形で多層的な階層構造を採用しており、大規模な組織や複雑なプロジェクトのニーズに柔軟に対応できます。イシュー と エピック:プロジェクトの進捗状況と課題管理IssueとEpicを使用して、プロジェクトのタスクと大規模なイニシアチブを管理します。これにより、チームは進捗状況を簡単に追跡し、課題を効率的に解決することができます。GitLab CI/CD:ビルド・テスト・デプロイの自動化GitLab CI/CDは、ソフトウェアのビルド、テスト、デプロイを自動化することで、開発プロセスのスピードと効率を向上させます。GitLab Runnerを使用して、これらのプロセスをカスタマイズし、自動化することができます。DevSecOps:セキュリティスキャンによる脆弱性検出GitLabはセキュリティを重視し、DevSecOpsアプローチをサポートします。CI/CDに統合されたセキュリティスキャン、セキュリティポリシーの適用、脆弱性管理などの機能を通じて、開発プロセス全体にわたってセキュリティを強化します。GitLab Duo:包括的なAIによる生産性向上GitLab Duoは、AI技術を活用して開発プロセスの効率をさらに向上させる新機能です。これにより、開発者はコードの品質を保ちながら、生産性を高めることができます。4. GitLabの基本的な使い方アカウント登録から始めるGitLabを利用するためには、まずGitLab.comまたは自社でGitLabをセットアップしてアカウントを登録します。リポジトリの作成と管理アカウント登録後、新しいプロジェクトのリポジトリを作成し、ソースコードの管理を開始します。リポジトリでは、ブランチの作成、ソースコードのコミットとプッシュ、マージリクエストの作成などが可能です。イシューとマージリクエストの活用プロジェクトの課題管理にはイシューを、コードレビューとマージのプロセスにはマージリクエストを活用します。これらの機能を通じて、チーム内のコラボレーションと品質保証を実現します。コードレビューとマージのプロセスマージリクエストは、コードの変更をレビューし、承認された後にメインブランチにマージするプロセスをサポートします。これにより、コードの品質を維持しつつ、開発プロセスを効率化します。5. まとめGitLabを活用することで、ソフトウェア開発プロセスの効率化とセキュリティの強化が可能です。このガイドを通じて、GitLabの基本的な概念から実践的な使い方までを理解し、あなたの開発プロジェクトにGitLabを効果的に導入しましょう。GitLabコミュニティとリソースを活用して、さらに深い知識を得ることも重要です。